海水魚、珊瑚、イソギンチャク飼育用濾過システムの特徴、選定について

海水魚、珊瑚、イソギンチャク飼育に欠かせないシステムが濾過システムです。水槽内で生体を維持していると、糞や残り餌、死骸といった様々な有機物が発生してきます。水槽という限られた空間の中で、生体たちが状態よく生活していくためには、濾過を利用して水槽内を綺麗に保つ必要があります。

目次

濾過とは?

濾過とは、生体を飼育する際に水槽内で発生した糞や残り餌、珊瑚やイソギンチャクなどの排泄物といったタンパク質、炭水化物、脂質などで構成された有機物を取り除くための仕組みです。

水槽内で発生したばかりのタンパク質、炭水化物、脂質などの有機物は、まだ水槽内ではそれほど悪影響を与えませんが、これらの有機物は水槽内で分解され、有毒なアンモニア、亜硝酸へと変化していくことになります。

濾過の仕組みは、大きく分けて物理濾過と、生物濾過に分類されます。

物理濾過とは?

物理濾過には、以下の2種類があります。

  • 濾過槽に設置されたウールマットによって汚れを除去する濾過
  • プロテインスキマーの泡の力を利用して汚れを除去する濾過

濾過槽を利用した物理濾過

物理濾過とは、魚の糞や水中を漂う浮遊物を濾過槽に設置するウールマットなどで濾し取ることです。後に説明する生物濾過は、ろ材(多孔質ろ材、ドライボールなど)に付着したバクテリアにより水中の有機物を分解し、水質を綺麗にすることです。バクテリアが水質を綺麗にしてくれる作用を「硝化」と呼びます。

濾過装置は、主に以下の4種類に分類されます。

  • 上部濾過水槽
  • 外掛式濾過水槽
  • 外部濾過水槽
  • オーバーフロー水槽

飼育環境が広ければ広いほど、生体にとっては快適な環境となります。水槽の容量が大きければ、閉ざされた空間の中でも環境の変化が起こりにくいというのが大きな理由です。狭い環境で毎日餌を与えているのと、広い環境で毎日餌を与えているのとでは、狭い環境の方が「水の汚れが早い」というイメージはつきやすいのではないかと思います。とはいえ、初めから巨大なオーバーフロー水槽を購入するのは、勇気が必要だったりもします。濾過能力が大きい順に並べると、オーバーフロー水槽>外部濾過水槽>上部濾過水槽>外掛式濾過水槽となります。

初心者の方が購入時に判断し易いように、水槽4タイプのメリットデメリットを記載しながら、まとめてみたいと思います。

濾過槽の種類について

上部濾過水槽について

上部濾過水槽の特徴

上部濾過水槽の特徴

上部濾過水槽は、水槽上部に配置したポンプで汚れたメイン水槽内の水を吸い上げ(赤い矢印)、上部に設置した濾過槽内を水が通過することで水槽内の汚れを取り除き、濾過された水(青い矢印)が再びメイン水槽内に戻る循環を行う水槽システムです。

上部濾過水槽のメリット、デメリット

メリット

最もポピュラーな濾過システムです。濾過層が上部に設置してあるため、メンテナンスが容易です。私が2000年に海水魚飼育をはじめた時は、この上部濾過水槽からスタートしました。しかし、珊瑚やイソギンチャクを飼育する場合には、ある程度の照明(光量)が必要となります。

デメリット

上部濾過水槽の場合、水槽の上部を濾過槽が遮ってしまうため飼育できる生体に限りが出てきてしまいます。上部濾過槽水槽では、蛍光灯がセットになっていることがほとんどですが、水槽セットの蛍光灯を取り外して、他の照明に変更したとしても濾過槽部分が照明の影になってしまい、水槽全体に光が行き届かなくなってしまいます。特に上部濾過槽でメタハラを取り付け、濾過槽などにメタハラが触れたりなどした場合には、濾過槽が溶けて大変なことになってしまいます。以下の生体以外を飼育する場合には、上部濾過水槽は適しません。

上部濾過水槽で飼育できる生体

上部濾過水槽では、イソギンチャクの飼育も可能です。私は過去、ハマクマノミとタマイタダキイソギンチャクを上部濾過水槽で年単位で飼育していた経験があります。ただし、外掛け式フィルターよりは上部フィルターの方が濾過効率はよいですが、濾過能力には限界があるので、水槽内への生体の入れすぎには気を付けた方が無難です。45センチサイズ水槽であれば、イソギンチャク一匹、海水魚は2匹ぐらいが安定して飼育できるレベルだと思います。また定期的な水替えも必要となります。

上部濾過水槽で飼育できる可能性がある生体
  • 海水魚
  • 陰日性サンゴ
  • 蛍光灯でも飼育できるイソギンチャク(サンゴイソギンチャク、タマイタダキイソギンチャク)
  • エビ、カニ、ヤドカリ類

蛍光灯でも飼育できるイソギンチャクとして、サンゴイソギンチャク、タマイタダキイソギンチャクを記載しましたが、蛍光灯よりも光量があるメタハラを利用した方が状態よく飼育が可能です。

外掛式濾過水槽について

外掛式濾過槽水槽の特徴

外掛式濾過槽水槽の特徴


外掛式濾過の水槽は、濾過装置をメイン水槽の縁に設置し、モーターで吸い上げられたメイン水槽内の水が外掛式濾過槽内のウールマット、ドライボール、活性炭といった濾材を通過して、浄化された水がメイン水槽内へと戻っていく水槽システムです。

外掛式濾過を選択する場合は、外掛式濾過が水槽に設置可能かを確認して購入する必要があります。フランジ付き水槽の場合は、外掛式濾過が設置できない場合もあります。フランジとは、魚の飛び出し防止や、ガラス蓋を水槽に乗せるために水槽上部に設置された縁のことをよびます。

外掛式濾過水槽のメリット、デメリット

メリット

外掛式濾過水槽の場合、水槽上部に空間が確保できるので、光が必要となる珊瑚やイソギンチャクの飼育も可能です。

デメリット

外掛式濾過は、濾過能力が低いため、多くの生体を飼育する場合には頻繁な水交換が必要となってきてしまいます。

どれぐらいの頻度で必要になるかについては、外掛式濾過装置の容量や水槽の大きさ、水槽で飼育している生体の種類や数などによって、変化するため一概には言えないのですが、給餌が必要となる海水魚や珊瑚、イソギンチャクを飼育している場合は、生体の状態が手遅れにならないように頻繁に水交換を行った方が無難です。

給餌が不要な珊瑚だけを飼育している場合は、頻繁な水交換は不必要になりますが、長期間水交換を行わないと、水中の栄養素が不足してしまうため、やはり定期的に水交換は必要になってきます。

仕事などの都合で定期的な水交換ができない場合は、外掛式濾過水槽は飼育環境の選択肢に入れない方が無難です。

外掛式濾過水槽で飼育できる生体

外掛け式フィルターを利用した濾過システムの場合、濾過効率が低いため、水を汚しやすいイソギンチャクや、水質に敏感な珊瑚の飼育は避けた方が無難です。海水魚の飼育であれば、小型のハゼや、カクレクマノミのみの飼育であればなんとか飼育は可能です。珊瑚もディスクコーラルであれば、蛍光灯での飼育も容易なため外部式濾過水槽でも飼育が可能です。ただし海水魚への餌の与えすぎなどにより、水質は直ぐに悪化してしまうので、頻繁な水替えが必要となってきます。ディスクコーラルが入った水槽で、海水魚を単独、もしくは2匹ぐらいの飼育に抑えるべき水槽システムです。

外部濾過(外部フィルター)水槽について

外部濾過水槽の特徴

外部濾過水槽の特徴

外部濾過水槽は、ポンプを内蔵した外部濾過フィルターがメイン水槽の汚れた水を吸い取り(赤い矢印)、外部濾過槽内を通過することで、水槽内の汚れが取り除かれた水(青い矢印)が再びメイン水槽へと戻っていく循環を繰り返す水槽システムです。

オーバーフロー水槽の次に濾過能力が高いのが外部濾過です。外部濾過装置の大きさがそこそこあれば、小型のオーバーフロー水槽よりも濾過能力を発揮する場合もあります。またフィルターを連結させることで、濾過能力をアップさせることもできます。

外掛式濾過水槽のメリット、デメリット

メリット
  • 水槽上部に濾過装置を設置することが無いので、照明を設置し易い。
  • 上部式濾過、外掛式濾過と比較すると、容量が大きくろ材を多く入れられることから生物濾過が働き水質を維持し易い。
  • 濾過能力が高いため、水交換等のメンテナンス回数を減らすことができる。
  • サブフィルターが増設可能なタイプを選択すれば、更に濾過能力を高めることができる。
  • 水槽台に濾過装置を収納させれば、水槽の外景を損なうことがない。
  • 濾過槽が密閉されているため水が空気をかむ事が無く静かな環境を作り出せる。
デメリット

外部濾過水槽の場合、濾過装置が閉ざされた密閉状態となるため、好気バクテリアが発生しづらくなってしまいます。

オーバーフロー水槽について

オーバーフロー水槽の仕組み

オーバーフロー水槽の仕組み

オーバーフロー水槽は、メイン水槽下部に設置された濾過槽内で浄化された水がポンプによってメイン水槽に持ち上げられ(青い矢印)、溢れたメイン水槽内の汚れた水が、フロー管を伝わり濾過槽に落ちる(赤い矢印)水槽システムです。

一番安定した環境で生体を飼育できる水槽です。オーバーフロー水槽とは、他の水槽と比較すると価格的には高価ですが、長期間飼育を行うのであれば、一番メリットが大きい水槽です。

オーバーフロー水槽のメリット、デメリット

メリット
  • 濾過槽内にプロテインスキマーや、ヒーターなどを収納できるため、水景を損なうことが無い。
  • 水槽上部に濾過装置を設置することが無いので、照明を設置し易い。
  • 大きな濾過槽を配置可能なため濾過能力が高い。
  • 好気バクテリア、嫌気性バクテリアが活動できる場所を作り易く、濾過能力が高いため安定した水槽環境で水交換も回数を少なくすることができる。
デメリット

水槽、濾過槽とあわせるとかなりの重量となるため、一度設置すると水槽をなかなか動かしづらくなってしまう点と、フロー管を伝わって濾過槽に落ちる箇所は少なくとも空気と触れる箇所となるため、水が落下する音が気になってしまいます。特に外部フィルターからオーバーフロー水槽に変更した方は、音のうるささに驚く方が多いと思います。

水が落下するフロー菅にビニール紐を垂らすことで、この水の落下音を軽減させる対策を取っている方もいます。

もっとも濾過能力に優れた濾過システムは、オーバーフロー水槽になります。

そして、海水魚、珊瑚、イソギンチャク飼育において、大切になってくる物理濾過システムが、プロテインスキマーです。

濾過水槽比較

それぞれの濾過装置の優れた点と、劣っている点を比較すると以下のようになります。

価格 濾過能力 水量 拡張性 重量
上部濾過水槽
外掛け濾過水槽
外部濾過水槽
オーバーフロー水槽

おすすめの濾過装置とは?

価格、濾過能力、水量、拡張性、重量という点に着目し、おすすめの濾過水槽を整理すると、以下のような内容となります。

プロテインスキマーを利用した物理濾過

魚の糞や残り餌、生体の死骸など、早期の段階で、これから有害物質のアンモニアへと変化する前段階の有機物状態(タンパク質、炭水化物、脂質など)のタイミングで除去する装置が、プロテインスキマーです。

プロテインスキマーの詳細については、「プロテインスキマーの特徴、選定について」ページで、詳しく解説しています。

生物濾過とは

生物濾過とは、バクテリアの力を利用して、物理濾過で除去しきれなかった汚れを除去するための仕組みです。

ウールマットプロテインスキマーでは全て除去できない。もしくは、プロテインスキマーの浄化能力が低くて、有機物(タンパク質、炭水化物、脂質など)が除去できずに、水槽内にどんどん蓄積していくと、除去しきれなかった有機物(タンパク質、炭水化物、脂質など)は、やがて水槽内で、生体たちにとって有害となるアンモニアへと変化し、その後亜硝酸へと変化していきます。

有害物質であるアンモニアや亜硝酸は、水槽の水替えを行わない限り除去する事ができません。

しかし、水槽内にバクテリアを発生させて生物濾過を行うことにより、プロテインスキマーで除去しきれなかった有機物(タンパク質、炭水化物、脂質など)が、有害物質であるアンモニア、亜硝酸に変化した後に、リフジウム水槽内で発生する微生物の力を利用して、生体に比較的無害な硝酸塩へと変化させ、水槽内を健全な状態に保つ事ができるのです。

整理すると以下のような事が言えます。

  • 水槽内で発生する糞や死骸などの物質を除去する装置がプロテインスキマー
  • プロテインスキマーで除去しきれなかった有機物は、有害なアンモニア、亜硝酸へと変化。
  • 有害なアンモニア、亜硝酸を比較的健全な、硝酸塩へと変化させる事ができる仕組みが生物濾過であり、生物濾過を実現させる方法には、以下4つの方法がある。
  1. 濾過槽の濾材を利用する
  2. ライブロックを利用する
  3. ライブサンドを使用する
  4. リフジウムを利用する

っということです。

よく生物濾過の仕組みがいろいろ書かれているのをご覧になられた方が多いと思いますが、ライブサンドライブロックのお話でもおなじみの内容でもあるので、上記内容ももう少し詳しく仕組みをシンプルな構成で書くと以下のような内容となります。

生物濾過のサイクル

好気性バクテリアの作用・役割

1.水槽内に餌の食べ残しや、生体の死骸、餌の食べ残し発生
これらは有害、有毒な成分で、バクテリアや微生物がアンモニア(NH3)に分解してくれる。
2.アンモニア(NH3)
これも有害な成分。バクテリア群により更に分解されると亜硝酸塩(NO2-)になる。
3.亜硝酸塩(NO2-)
これもまだ有害な成分。バクテリア群の活躍により更に硝酸塩(NO3-)に分解。水草(マリンプランツ)は、亜硝酸塩(NO2-)を吸収、成長します(ここ面白いポイントで重要)
4.硝酸塩(NO3-)
ここまでくると比較的安全な成分で、水替えで排除。

嫌気性バクテリアの作用・役割

アマモとライブサンドで作り上げた嫌気層

アマモとライブサンドで作り上げた嫌気層

好気性バクテリアの働きによって、水槽内に硝酸塩(NO3-)が蓄積されます。上記では、水替えで排除っと記載したのですが、嫌気性バクテリアがいると硝酸塩(NO3-)を窒素ガスに変化させて、大気中に放出してくれます。

これが、生物濾過のサイクルで、好気性バクテリアと嫌気性バクテリアの循環が出来あがると、水替え不要の水槽ができあがるともされています。

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