ツツウミヅタの飼育について
ツツウミヅタはソフトコーラルの中でも長期飼育が難しい種類です。過去様々な海水魚、珊瑚、イソギンチャクの長期飼育を行ってきていますが、ツツウミヅタについては長期飼育に至った事がありません。ただし、調子を崩すポイントは過去の経験から掴んでいるので(正しいかは不明です)、過去の飼育経験をもとにツツウミヅタの飼育についてまとめてみたいと思います。
目次
- 1 ツツウミヅタについて
- 2 飼育方法
- 3 飼育環境
- 4 種類
- 5 価格
- 6 通販
- 7 人気のショップ
- 8 ソフトコーラルの飼育
- 9 珊瑚の飼育機材、用品
- 10 珊瑚飼育におすすめのオーバーフロー水槽
ツツウミヅタについて
英語、学名
ツツウミヅタの学名は、”Clavularia”です。海外のアクアリストと交流している中では、特にオレンジラインが人気種です。最近ようやく国内にも流通し始めた感じがありますが、海外では随分昔からオレンジラインが出回っていました。
飼育方法
ツツウミヅタはデリケートなソフトコーラルで、特にライブロックのレイアウト変更などを行った後や照明を変えた後、水替えを行った後などに調子を崩しやすいソフトコーラルです。
光量
ツツウミヅタは強い光が必要とされるソフトコーラルです。照明もなるべく強い波長を出すタイプを選択する必要があります。
照明
LEDや蛍光灯を利用するよりも、メタハラを利用した方が明らかに調子が良いです。ツツウミヅタには、浅場のタイプと深場のタイプがあります。浅場のタイプは強めの照明、深場のタイプは弱いLEDのライトの光でも飼育ができます。深場タイプの場合は、メタハラ直下は避け、ブルー系のLEDで照らしてあげると調子よく飼育することができました。
浅場タイプ
照明の光は強め
深場タイプ
照明の光は弱め
株分け
ツツウミヅタは株分けしてフラグ化させることができます。切断する際にはコーラルカッターを利用するよりも、新品の通常のカッターナイフを利用した方がおすすめです。ポリプを切断しないように根元からある程度まとまった株単位で切断を行います。ただし、ツツウミヅタは他のソフトコーラルと比較してもデリケートなので、あまり株分けしない方がおすすめなのと、もし対応する場合は素早く手際よく対応した方が望ましいです。
増殖
ツツウミヅタは水槽内でも増殖を行います。増殖する際にはランナーと呼ばれる根っ子のようなものが伸び始め、ライブロックに活着したランナーから小さい株が出始めます。イメージとしては、マリンプランツの中でも海藻の増殖に近い面白い生体系です。
水流
水流は強い方がよいとされていますが、私はそんなに強くなくても飼育できていました。もしも、パワーヘッドで水流を作る際には、くれぐれも水流がツツウミヅタを直撃しないように気を付ける必要があります。パワーヘッドの水流が水槽の側面で跳ね返った水流がツツウミヅタにあたるようにレイアウトしてあげるのがコツです。
餌
餌を与える必要はありません。照明環境で十分飼育できますし、増殖もします。
色揚げ
サンゴの色揚げってとても難しく、まずは状態よく飼育できるように照明を選択してあげる必要があります。サンゴは同じ種類であっても生息している水深の違いによって色上がる場合と色上がらず成長を繰り返すといった特性がある事が海外の文献には記載されています。つまり自然界においては、水深によって受ける波長によってサンゴの色上がりに違いがでます。色あげる事を意識するよりも、まずはサンゴの飼育に適した照明下において、サンゴの調子を観察しながら、適切な飼育を心がけることが大切だと思います。
食害
ソフトコーラルは、ウミウシなどの食害にあうと、調子がよかったはずなのに、急に数を減らすことがあります。万が一ツツウミヅタの数が突然減りだした場合は、ウミウシなどの食害をチェックした方がよいです。
落ちる環境
ツツウミヅタはデリケートなソフトコーラルです。特に落ちる環境は、ランナーを伸ばし増殖している際に、特にレイアウト変更でランナーを切断してしまった際などは急激に調子を崩して落ちる場合があります。
溶ける
ツツウミヅタは溶けるというよりは、消失するといった状態で、調子を崩した際にはどんどん姿を水槽内から消していきます。
活着
一度レイアウトセットしたら、手を触れずにしておけば、自然とツツウミヅタはライブロックに活着します。調子がよければ、数日で活着してくれます。
付着したコケ
ツツウミヅタにコケが付いてしまった際には無理に指で取らず、ピンセットなどを利用して取るのがおすすめです。レイアウトの変更を行うと調子を崩しやすいソフトコーラルなので、可能であればレイアウトを変えないように、上手くコケを取ってあげます。タツナミガイやエメラルドグリーンクラブの働きは、私の過去の経験上は、あまり期待できないといった印象です。
硝酸塩
ツツウミヅタは水質にも敏感なソフトコーラルです。硝酸塩や亜硝酸塩が検出される水道水の利用は避け、浄水器を利用して純水を作った方が状態よく飼育できます。また、水槽内の硝酸塩濃度が上昇した場合は、水替えを行ってあげる必要があります。
水質
ツツウミヅタは、水質にも敏感なソフトコーラルです。水替え時には、比重で計測すると、水温の違いから間違って計測する場合がありますので、サンゴ飼育においては、塩分濃度計を利用するのが正解です。初心者の方は、比重1.023を計測しがちですが、塩分濃度を計測するようにした方がよいです。
産卵
ツツウミヅタは水槽内で産卵をすることがあります(正確には産卵なのか不明です)。私も過去、水槽内で産卵した事があるのですが、ツツウミヅタが産卵すると、水槽内が真っ白に変色します。そのまま放置しておくと水質悪化につながってしまいますので、ホースなどで早めに外へ放出してあげる必要があります。
卵
本当にツツウミヅタの卵なのか不明なのですが、私の水槽では、真っ白な丸い卵を物凄い数、放出したことがあります。
繁殖
ツツウミヅタは容易に繁殖(増殖)させることができます。増殖している時はよいのですが、増殖していてもレイアウト変更などで調子を崩すと、一気に消失してしまうので、扱いには注意が必要です。
ポリプが開かない場合
ツツウミヅタは、レイアウト変更をいろいろ行っていると、ポリプを開かなくなる事が多いです。一度水槽にセッティングしたら、生体にはあまり触れないようにする事が大切です。またパワーヘッドなどの水流がツツウミヅタを直撃すると、ポリプが開かなくなりますので、直撃しないようにレイアウトしてあげる必要があります。
ポリプの開きが悪い場合
状態よく開いていたにも関わらずポリプの開きが悪くなった場合は、水質の悪化が原因であることが多いです。水槽内の硝酸塩、亜硝酸塩濃度が高まっていないか?計測してみるのがおすすめです。
間延びした状態
ポリプを伸ばしきっているツツウミヅタを急に水槽の外に出すと間延びしたような状態になる事が多いです。水槽のメンテナンスでツツウミヅタを外に出すと間延びしてしまいその後調子を崩して消失してしまう事が多いので、メンテナンスなどであっても極力レイアウト変更を行わないのがおすすめです。
痩せる状態
ツツウミヅタが痩せる状態は、水質悪化が原因である事が多いです。上記でご紹介した製品を利用して、水槽内の硝酸塩、亜硝酸塩を計測し、値が大きいようであれば浄水器を利用して純水で作った海水で水交換を行ってあげる必要があります。
不調の状態
ツツウミヅタが不調となる要因は、照明、水流、水質悪化、むやみなレイアウト変更。だいたいこの4つのいずれかである可能性が高いです。特に水替えを怠った事による水質悪化、むやみなレイアウト変更。この2点が原因であることがほとんどです。
ヒラムシ
ツツウミヅタに限らずサンゴを購入した時に、サンゴにヒラムシが付着していて水槽内に持ち込んでしまう事が多いです。心配な方は、Coral RX PROを利用して、水槽へサンゴを入れる前にサンゴの薬浴を行ってあげる必要があります。
相性
ウミウシ
ソフトコーラルは、ツツウミヅタに限らず、ウミウシとの相性が悪く、気が付くとウミウシに食べられてしまう事が度々おこります。私はツツウミヅタでは経験が無いのですが、ブルームウミアザミをよくウミウシに食べられてしまうことがありました。ソフトコーラルに擬態しているウミウシが多いので、急にツツウミヅタの調子が悪くなったり、数が減ってきた場合は、ツツウミヅタの付近をよく観察し、ウミウシがいるようであれば、ピンセットなどを利用してウミウシを捕獲する必要があります。
ウミアザミ
ツツウミヅタとウミアザミの相性はまったく問題ありません。私は両方のサンゴが接触するような環境下でも何も問題無く飼育を行うことができました。
ヤッコ
ツツウミヅタがある水槽環境であらゆるヤッコを飼育したことがありますが、他のサンゴと比較すると、個体差にもよると思いますが、あまりヤッコはツツウミヅタを突っつかない気がしています。ただし、ツツウミヅタに限らず、様々なサンゴ飼育をヤッコが泳ぐ水槽下で行う場合は覚悟が必要です。
ライブロックの選定
ライブロックは、スプラッシュのライブロックしか私は利用した事がありません。入り組んだ形状の枝状ライブロックを販売しているショップなので、とても容易に、サンゴをシッカリとレイアウトすることができます。
レイアウト
ツツウミヅタには、深場タイプがあります。深場タイプのツツウミヅタをレイアウトする際には、水槽の底面に近いところで、照明の光がダイレクトに当らない場所に配置してあげる必要があります。深場タイプのツツウミヅタで無い場合は、なるべく照明の光が当たる場所にレイアウトしてあげます。ただし、照明直下は避けた方がよいです。
長期飼育
ツツウミヅタを長期飼育する秘訣は、とにかくレイアウト変更を頻繁にしない。という点が一番大切だと思います。
飼育難易度
ツツウミヅタは、ソフトコーラルの中でも飼育難易度は高いと思います。ウミアザミが難しいと言う方がいますが、私はウミアザミは年単位での飼育ができていますが、ツツウミヅタだけは年単位の飼育が出来ていません。ただ、むやみなレイアウト変更は行わず、レイアウト一定のままで水質についてもシッカリ管理してあげれば、飼育できるソフトコーラルであると感じています。
難易度
普通:
光量
強め:
毒性
弱い:
飼育環境
水換え頻度
飼育する水槽環境によって、水換えを行う頻度が異なってきます。水換え頻度については、以下のページでまとめています。
水換え頻度について
ライブロック
ライブロックは、水槽内での生物濾過を実現したり、珊瑚のレイアウトとして便利なため、水槽内にあった方がおすすめです。
ライブロックの特徴、選定
ライブサンド
ライブサンドは、水槽内での生物濾過を実現し、生体が水槽内で過ごし易い環境を作り上げることができます。ライブサンドの特徴や、水槽サイズ別に必要となるライブサンドの量について、以下のページでまとめています。
ライブロックの特徴、選定
プロテインスキマーの設置
プロテインスキマーは、ライブロック、ライブサンドで実現する生物濾過とは異なり、水槽内に溜まった目に見えるぐらいの汚れを物理的に除去するといった役割を持つため、設置した方が状態よく飼育することができます。
プロテインスキマーの特徴、選定
浄水器の設置
より海に近い環境で長期飼育を目指す場合には、水道水の不純物を取り除ける浄水器を設置するのがおすすめです。浄水器の特徴や選定については、以下のページでまとめています。
浄水器の特徴、選定
オーバーフロー水槽での飼育
水槽の水量が多いほど、急激な水槽内の環境変化から生体をまもり、状態よく飼育することができます。生体の長期飼育を目指すなら、オーバーフロー水槽での飼育がおすすめです。
オーバーフロー水槽の特徴、選定
ツツウミヅタを飼育する上で必要な飼育環境については、以下のページにまとめています。
実際の飼育環境
本ページで記載している記事は、以下の水槽スペックで実際に飼育した経験を元に記載しています。飼育環境を選定する際の参考情報としてください。
種類
最近はオレンジラインがとても流通するようになり、ツツウミヅタの中ではやはりオレンジライン、オレンジチップと呼ばれる個体が人気です。ただし、ホワイトタイプやグリーンタイプなどもとても美しく、おすすめです。
スノーポリプ
雪の結晶のような美しいポリプを持ったツツウミヅタです。水槽を上品にひろどってくれます。
ホワイト
ホワイトと呼ばれる種類は、スノーポリプとして販売されている個体と変わりはありません。
グリーン
グリーンと呼ばれる個体は、ポリプの軸までグリーンな個体です。主に沖縄便で流通している個体になります。
センターグリーン
ツツウミヅタのセンターグリーンと呼ばれるタイプには、浅場のタイプと、深場のタイプがあります。浅場のタイプは、ポリプが広いのに対して、深場のタイプはポリプが細いのが特徴です。どちらもポリプの中央がメタリックグリーンに輝くとても綺麗な個体です。
ヘアリーポリプ
ヘアリータイプのツツウミヅタは、ポリプがモサモサしているタイプになります。グリーンタイプからノーマルタイプまで流通しています。
ヘアリーセンターグリーン
ヘアリーセンターグリーンについては、通常のセンターグリーン個体として販売されている個体と変わりはありません。モサモサしたポリプに、中央がメタリックグリーンに輝く美しい個体です。
オレンジチップ
ツツウミヅタで最も人気の個体と言えばオレンジチップ。ポリプがオレンジに輝き、ブルーのLEDライトで照らすと、その美しさは倍増です。
ハナツダとの違い
ハナツダは、深場のツツウミヅタよりも更にポリプが細いタイプのサンゴです。水槽内でも気が付いたらハナツダが発生していた…なんてこともあります。形状はツツウミヅタに似ていますが、どちらかというとクダサンゴに近いような形状をしています。
価格
ツツウミヅタは大きさによって値段が大きく変わってきます。沖縄便であれば、大小それほど変わらず5,000円前後。小型のフラグサイズであれば、2,000円台でも購入できる場合があります。オレンジチップで大きな個体になると値段は高く、1万円前後となってきます。以下のような小さな個体であれば、2,000円台でも販売されています。詳しくは以下の通販サイトより、最新の価格をご確認ください。
通販
通販サイトで購入ができる価格が安いツツウミヅタを以下のページからご確認いただけます。該当の商品が存在しない場合は、商品が何も表示されない場合や、他の商品が表示される場合があります。
ツツウミヅタに関する飼育方法のご紹介は以上となります。次にマメスナギンチャクの飼育方法をご紹介いたします。 関連記事:マメスナギンチャクの飼育について
人気のショップ
ソフトコーラルの飼育
ソフトコーラルは、ハードコーラルと比較すると、初心者でも飼育しやすい種類が多い珊瑚の仲間です。毒性が弱い珊瑚が多いので、水槽内での珊瑚のレイアウトも容易にできます。ただし、逆に毒性が弱い分、毒性が強いハードコーラルの仲間やイソギンチャクの仲間がソフトコーラルに接触すると、ソフトコーラルがダメージを受けて溶けて消滅してしまうということがあります。水質が落ち着いた水槽を用意し、レイアウトを頻繁に変えるようなことがなければ、年単位での飼育にも望める種類も多いです。以下のページでは、ソフトコーラルの種類別に飼育方法についてご紹介していきます。
珊瑚の飼育機材、用品
珊瑚は、ソフトコーラルとハードコーラルの2種類に大きく分かれます。更にハードコーラルは、ポリプが短いSPS(Small Polyp Stony)とポリプが長いLPS(Large Polyp Stony)に分類されます。SPSの代表的な珊瑚がミドリイシとなります。珊瑚は、海水魚よりもデリケートな固体が多いので、急激な環境変化にストレスを受けて死んでしまうケースが多くあります。珊瑚を飼育する場合には、生体が落ち着ける環境を作り、一旦レイアウトを行ったら、いじらないことがとても大切だったりもします。
珊瑚飼育におすすめのオーバーフロー水槽
珊瑚飼育におすすめなオーバーフロー水槽を30センチ、45センチ、60センチ、90センチ、120センチサイズ別に比較することができます。オーバーフロー水槽は、サイズが大きくなるにつれて、とても高額になってきます。オーバーフロー水槽が崩壊したり、水槽に付属する機材が故障すると、飼育している海水魚、珊瑚、イソギンチャク、マリンプランツが死んでしまう可能性があるので、万が一何かトラブルが発生した際にも、サポート体制がシッカリとしている店舗で購入するのがおすすめです。インターネット通販で販売されているオーバーフロー水槽は、組み立てが簡単なので、届いたその日に水槽のセッティングを開始することができます。詳細は、以下のページでまとめています。
マリンアクアリウム飼育方法
海水魚、珊瑚(ソフトコーラル、ハードコーラル)、イソギンチャク、マリンプランツ(海藻、海草)の飼育方法について、以下のページでそれぞれまとめています。
マリンアクアリウム飼育機材
海水魚、珊瑚(ソフトコーラル、ハードコーラル)、イソギンチャク、マリンプランツ(海藻、海草)の飼育に必要な機材や用品などについて、以下のページでそれぞれまとめています。