タマイタダキイソギンチャクの長期飼育について
タマイタダキイソギンチャクは、イソギンチャクの中でも飼育しやすい種類です。蛍光灯やLEDでも飼育する事ができますが、長期飼育を目指す場合、照明は光量が強いメタハラの方がおすすめです。人気種は、レッドカラーのタマイタダキイソギンチャクになりますが、入荷は稀です。価格も比較的安い事から、初心者の方でも飼育しやすいイソギンチャクになります。
目次
イソギンチャクの種類
水槽で飼育できるイソギンチャクにはいろいろな種類がいますが、多くの人たちがカクレクマノミとの共生を楽しみたいと思う人が多いと思います。カクレクマノミと、水槽で飼育するのにおすすめなイソギンチャクの飼育方法については、以下のページでまとめています。
タマイタダキイソギンチャクについて
英語、学名
タマイタダキイソギンチャクの学名は、”Entacmaea ramsayi”です。
名前の由来
タマイタダキイソギンチャクは、サンゴイソギンチャクと比較すると触手の先端が丸いのが特徴です。タマイタダキイソギンチャクの名前の由来については、触手の先端が丸いというところから来ているものと思われます。
飼育方法
タマイタダキイソギンチャクは、イソギンチャクの仲間の中では、比較的容易に飼育できる種類です。長期飼育を目指すのであれば、オーバーフロー水槽でのメタハラの設置や、浄水器で純水の生成を行った方が望ましいです。
移動
タマイタダキイソギンチャクは、水槽内に落ち着ける場所が無いと定着場所を求めてかなり動き回ります。サンゴの飼育を行っている場合は、タマイタダキイソギンチャクとの接触によってサンゴがダメになってしまう場合もありますので、注意が必要です。
動かないか?について
動かないか?との質問をよく受けるのですが、タマイタダキイソギンチャクは動きます。一度定着した後も水流が気に入らなかったり、照明が気に入らないと水槽内を移動する事がよくあります。
光量
光量は強めの方が好ましいです。
照明
LED、蛍光灯でも飼育は可能です。ただし長期飼育を目指すのであれば、メタハラクラスの照明を利用した方が長期維持できます。
照明時間
私の水槽は朝7時に点灯させ、夕方17時ぐらいに消灯するようにしています。照明にタイマーが付いていない場合は、故障率が低いアナログタイマーを取り付けるのがおすすめです。
メタハラの必要性
タマイタダキイソギンチャクの長期飼育を目指すのであれば、メタハラクラスの照明を設置した方がおすすめです。
水流
水流は、あった方が状態がよいので、パワーヘッドなど水中ポンプで水流を作った方が望ましいです。ただし、あまり水流が強いと、タマイタダキイソギンチャクが間延びしてしまったりするので、水槽の側面にあたった水流の跳ね返りがタマイタダキイソギンチャクにあたるぐらいの流れがちょうどよいです。
水温
水温は25℃前後をキープさせる必要があります。水温がとても下がる冬場の換水時などは、注意が必要です。
ヒーターの必要性
冬場はヒーターを取り付けて、急激な温度低下が発生しないように注意する必要があります。
クーラーの必要性
夏場は水槽用クーラーが必要です。これからタマイタダキイソギンチャクの飼育を始められる方は、早くて3月、遅くても5月の上旬ぐらいまでには、水槽用クーラーを設置する必要があります。
大きさ
タマイタダキイソギンチャクは、水槽に慣れるととても大きく広がります。ショップで販売時は10cmだと思っていたものが、広がったら倍近くの大きさになってしまったという事もよくあります。胴体が小さい個体であれば、それほど水槽内で広がらないので、タマイタダキイソギンチャクをメインで飼育しない水槽(45cm~から60cm前後)であれば、15cm以下ぐらいの個体サイズにしておいた方が無難です。タマイタダキイソギンチャクが広がりすぎるとサンゴに触手が触れてしまい、サンゴが死んでしまうことがあります。
成長
イソギンチャクの種類の中では、成長がとても速い種類です。メタハラを利用した場合は、元気に成長します。
色揚げ
色揚げを考慮するよりも、生体が長期飼育できる環境をまずは整える必要があります。メタハラを利用し、浄水器で生成した純水で人工海水を溶かした飼育水を利用するのがベストです。
活着
タマイタダキイソギンチャクは入り組んだ形状の枝状ライブロックの隙間などに活着しやすいです。
ライブロック
ライブロックは、ブロック状よりも枝状ライブロックがおすすめです。枝状といっても、棒のような形状ではタマイタダキイソギンチャクは活着しないので、枝状でなおかつ入り組んだ形状のスプラッシュで販売されているような枝状ライブロックがおすすめです。
分裂
タマイタダキイソギンチャクは、水槽内でも分裂して数を増やします。私の飼育水槽でも2個体に分裂したり、4個体に分裂した事がありました。イソギンチャクの分裂は、状態がよいから分裂するというよりも、急激な環境変化時などに種の保存のために分裂を繰り返しているような印象を受けます。
口
タマイタダキイソギンチャクも中央部分に口があります。ハタゴイソギンチャクのように調子を崩すと口が広がり、中の内臓が溶け出し、水槽内の水質悪化につながる可能性があるので注意が必要です。
触手
タマイタダキイソギンチャクの触手は、ショップでの購入時は丸くても飼育しているうちにどんどん間延びして長くなる事があります。触手が間延びしたとしても、生体自体には特に影響はありません。触手が間延びする場合は、水流が強すぎる場合もあります。
毒性
毒性はイソギンチャクの仲間の中では小さい方です。とはいいつつも、サンゴに触れたりすると、サンゴが死んでしまう場合がありますので、レイアウト時はタマイタダキイソギンチャクの触手が他の生体に触れないように配置してあげる必要があります。
硝酸塩
硝酸塩濃度が高いとタマイタダキイソギンチャクは調子を崩します。メタハラを利用し、浄水器を利用した純水の生成。プロテインスキマーを水槽内に配置して、水槽内の汚れの原因であるタンパク質などが硝酸塩、亜硝酸塩に変化する前に除去できるような環境を準備してあげる事がおすすめです。
白化
タマイタダキイソギンチャクは調子を崩すと、イソギンチャク内部の褐虫藻が抜けてしまい白く白化してしまう事があります。照明の照度の問題というよりは、水替えを怠り、水槽内の硝酸塩濃度が高いまま放置している水槽でよくみられる現象です。
タマイタダキイソギンチャクについては、上記の状態から復活させたことがありませんが、褐虫藻が抜けてしまったハタゴイソギンチャクについては、過去に復活させたことがあります。ハタゴイソギンチャクの飼育についての詳細は、以下のページでまとめています。
調子
タマイタダキイソギンチャクは調子がよいととてもよく触手を広げます。逆に調子を崩すと、触手が細くなり、まったく開かなくなってしまう事があります。
しぼむタマイタダキイソギンチャク
タマイタダキイソギンチャクが小さくしぼむタイミングは、以下のいずれかのタイミングです。
- 照明の灯りが消えたタイミング。
- 口から排泄物を出すタイミング。
- 調子を崩した場合。
1点目と2点目については特に問題はありませんが、3点目の状態になってしまうとなかなか復活させるのが難しいです。オーバーフロー水槽、プロテインスキマー、メタハラの設置、メタハラを利用し、浄水器の利用がおすすめです。
飼育環境
水換え頻度
飼育する水槽環境によって、水換えを行う頻度が異なってきます。水換え頻度については、以下のページでまとめています。
水換え頻度について
ライブロック
ライブロックは、水槽内での生物濾過を実現したり、イソギンチャクのレイアウトとして便利なため、水槽内にあった方がおすすめです。
ライブロックの特徴、選定
ライブサンド
ライブサンドは、水槽内での生物濾過を実現し、生体が水槽内で過ごし易い環境を作り上げることができます。ライブサンドの特徴や、水槽サイズ別に必要となるライブサンドの量について、以下のページでまとめています。
ライブロックの特徴、選定
プロテインスキマーの設置
プロテインスキマーは、ライブロック、ライブサンドで実現する生物濾過とは異なり、水槽内に溜まった目に見えるぐらいの汚れを物理的に除去するといった役割を持つため、設置した方が状態よく飼育することができます。
プロテインスキマーの特徴、選定
浄水器の設置
より海に近い環境で長期飼育を目指す場合には、水道水の不純物を取り除ける浄水器を設置するのがおすすめです。浄水器の特徴や選定については、以下のページでまとめています。
浄水器の特徴、選定
オーバーフロー水槽での飼育
水槽の水量が多いほど、急激な水槽内の環境変化から生体をまもり、状態よく飼育することができます。生体の長期飼育を目指すなら、オーバーフロー水槽での飼育がおすすめです。
オーバーフロー水槽の特徴、選定
タマイタダキイソギンチャクを飼育する上で必要な飼育環境については、以下のページにまとめています。
実際の飼育環境
本ページで記載している記事は、以下の水槽スペックで実際に飼育した経験を元に記載しています。飼育環境を選定する際の参考情報としてください。
餌
餌を与える必要はありません。照明が適切であれば、餌を与えなくてもタマイタダキイソギンチャクは元気に飼育可能です。
カクレクマノミとの共生
タマイタダキイソギンチャクは、カクレクマノミと共生を行います。ただしタマイタダキイソギンチャクとカクレクマノミの共生を行う場合は、自然採取されたワイルドのカクレクマノミよりも、ブリード個体(養殖された個体)の方がおすすめです。
相性
海水魚との相性
タマイタダキイソギンチャクに限らず、ハタゴイソギンチャクを含めた他のイソギンチャクでも言える事ですが、ヤッコの仲間は、調子を崩したイソギンチャクを突っつく習性があります。タマイタダキイソギンチャクの状態がよければ、特に問題が無いのですが、調子を崩した際は、ヤッコの仲間に突っつかれると、急激に状態が悪くなってしまう場合があるので注意が必要です。
サンゴとの接触、相性
サンゴ水槽でもタマイタダキイソギンチャクの飼育は可能です。毒性が弱いといえども、サンゴと接触した際には、サンゴの調子が崩れる場合がありますので、サンゴ水槽でタマイタダキイソギンチャクを飼育する場合には、サンゴと接触しないようにレイアウトしてあげるのがおすすめです。
キャメルシュリンプとの相性
タマイタダキイソギンチャクとキャメルシュリンプの相性は悪くありませんが、キャメルシュリンプはLPSなどをハサミでむしりとってしまう修正があります。タマイタダキイソギンチャクの飼育というよりは、サンゴ水槽においてキャメルシュリンプを飼育するのは避けた方がよいです。
飼育難易度
タマイタダキイソギンチャクの飼育は難しくないです。適切な飼育環境下であれば、飼育が難しいと言われるハタゴイソギンチャクであったとしても年単位での飼育は問題無く可能です。
難易度
普通:
カクレクマノミとの共生
普通:
珊瑚との相性
危険:
つまり飼育が難しいか?、簡単か?は飼育環境に左右される要素が大きいので、長期飼育を目指すのであれば、メタハラ、浄水器、プロテインスキマーの利用がおすすめです。私も初心者の頃は、高額機材の設置にはかなり躊躇しましたが、設置した後の生体の状態は明らかに優れていることが確認できるようになると思います。
初心者の方がイソギンチャクを飼育する際に気をつけたいポイントについては、以下のページで、イソギンチャクの種類別にまとめています。
種類
タマイタダキイソギンチャクは、特にレッド個体が人気です。ただし入荷はとても稀なのと、グリーン個体などと比較すると、価格が高価です。また、色の違いによる飼育難易度に違いがありますか?と質問を受けることがあるのですが、特に色の違いによる飼育難易度の違いはありません。
レッド個体
全身が真っ赤なタマイタダキイソギンチャクは、15年ほど前はよく見かけたのですが、最近はまったくと言ってよいほど見かけなくなってしまいました。
グリーン個体
一番よく見かけるタイプがグリーン個体です。価格も安く購入しやすい個体が多いです。
ピンク個体
蛍光ピンク個体も流通する事があります。ただし流通量は少なめです。レッド個体よりかは見かける機会が多い気がします。
先端オレンジチップ個体
先端オレンジチップ個体も最近は見かけなくなってしまいました。タマイタダキイソギンチャクの触手先端のみがオレンジ色の個体になります。
沖縄産
国内に流通するタマイタダキイソギンチャクの多くが沖縄産です。丈夫で飼育しやすい個体が多いです。
タマイタダキイソギンチャクとサンゴイソギンチャクの違い
タマイタダキイソギンチャクとサンゴイソギンチャクの違いは、触手の形状で見分けることができます。タマイタダキイソギンチャクの触手先端は、丸型なのに対して、サンゴイソギンチャクの触手先端は玉ねぎのような形状です。
価格相場
- ノーマル:約3,000円
- メタリックグリーン:約8,000円
- ピンク:約10,000円
- レッド:約30,000円
価格は、グリーン個体であれば3,000円以内。ピンク個体であれば1万円前後、レッド個体になってくると、状態が優れたものほど高額になります。先端オレンジチップの個体は、1万円前後で販売されている事が多いです。詳しくは以下の通販サイトより、最新の価格をご確認ください。
通販
通販サイトで購入ができる価格が安いタマイタダキイソギンチャクを以下のページからご確認いただけます。該当の商品が存在しない場合は、商品が何も表示されない場合や、他の商品が表示される場合があります。
タマイタダキイソギンチャクに関する飼育方法のご紹介は以上となります。次にシライトイソギンチャクの飼育方法をご紹介いたします。 関連記事:シライトイソギンチャクの飼育について
人気のショップ
イソギンチャクの飼育
イソギンチャクといえば、誰もがあこがれる飼育環境下で行うカクレクマノミとの共生です。以下でご紹介するイソギンチャクは、全て我が家の自宅で飼育してきたイソギンチャクになります。イソギンチャクは、海水魚や珊瑚、マリンプランツ(海藻、海草)と比較しても独特の生き物で、実際に飼育経験を積んでいかないと、生体の見極めや、長期飼育が難しい生き物です。ただし、飼育環境さえ整えてしまえば、飼育が難しいとされるハタゴイソギンチャクでも、10年以上飼育する事も可能です。実際に私の周りには10年以上、ハタゴイソギンチャクを飼育しているベテランのアクアリストが今なお飼育を継続して存在します。イソギンチャクと並んで人気のカクレクマノミの飼育については、以下のページでまとめています。カクレクマノミも、もう10年ぐらい今もなお継続して、長期飼育しています。
イソギンチャクの飼育機材、用品
イソギンチャク飼育は、海水魚飼育に必要な機材、用品に追加して、カルシウムリアクター、添加剤、イソギンチャク飼育に適した照明が必要となってきます。カルシウムリアクターと添加剤は無くてもイソギンチャクの飼育は可能です。ここに、オーバーフロー水槽、浄水器、クーラー、プロテインスキマー、ライブロック、ライブサンド、ヒーター、水中ポンプ、塩分濃度計、バケツ、ウールマット、人工海水など海水魚飼育にも必要な機材や用品が加わってきます。より自動化させた水槽環境を実現する際には、自動給水器、電磁弁が必要です。オーバーフロー水槽を自作する際には、水槽用の配管パーツが必要となってきます。
イソギンチャク飼育におすすめのオーバーフロー水槽
イソギンチャク飼育におすすめなオーバーフロー水槽を30センチ、45センチ、60センチ、90センチ、120センチサイズ別に比較することができます。オーバーフロー水槽は、サイズが大きくなるにつれて、とても高額になってきます。オーバーフロー水槽が崩壊したり、水槽に付属する機材が故障すると、飼育している海水魚、珊瑚、イソギンチャク、マリンプランツが死んでしまう可能性があるので、万が一何かトラブルが発生した際にも、サポート体制がシッカリとしている店舗で購入するのがおすすめです。インターネット通販で販売されているオーバーフロー水槽は、組み立てが簡単なので、届いたその日に水槽のセッティングを開始することができます。詳細は、以下のページでまとめています。
マリンアクアリウム飼育方法
海水魚、珊瑚(ソフトコーラル、ハードコーラル)、イソギンチャク、マリンプランツ(海藻、海草)の飼育方法について、以下のページでそれぞれまとめています。
マリンアクアリウム飼育機材
海水魚、珊瑚(ソフトコーラル、ハードコーラル)、イソギンチャク、マリンプランツ(海藻、海草)の飼育に必要な機材や用品などについて、以下のページでそれぞれまとめています。