シライトイソギンチャクの長期飼育について

水槽内で成長を続けるシライトイソギンチャクとカクレクマノミの共生
価格が安く、水槽内をあまり移動しないのと、カクレクマノミと共生する場合があることから人気のシライトイソギンチャク。状態よく飼育していると、シライトのはずが褐虫藻が増えて触手がグレーになることもあります。
目次
イソギンチャクの種類
水槽で飼育できるイソギンチャクにはいろいろな種類がいますが、多くの人たちがカクレクマノミとの共生を楽しみたいと思う人が多いと思います。カクレクマノミと、水槽で飼育するのにおすすめなイソギンチャクの飼育方法については、以下のページでまとめています。
シライトイソギンチャクについて
英語、学名について
シライトイソギンチャクの学名は、”Radianthus crispus”です。
飼育方法

状態が優れたシライトイソギンチャクとカクレクマノミの共生
どの生体もそうですが、飼育環境が整えば、飼育が難しいとされるハタゴイソギンチャクであっても飼育は楽です。マリンアクアリストの方の飼育スタイルは様々ありますが、私が生体を飼育する際には、オーバーフロー水槽で水量の確保、自然界で生活している生体たちは毎日太陽の光を浴びて生活しています。設置する照明は、蛍光灯やLEDでは無くメタハラ。イソギンチャクは特に口から排泄物を出し、飼育水を汚しやすのでプロテインスキマーの設置。飼育水は浄水器で純水を生成する。水温によって計測値に差がでる比重計では無く、塩分濃度計を用いて人工海水により、飼育水を生成する事は、生体を長く長期飼育する上での基本動作になってくると思っています。ただし、値段が本当に高い!これはいつまで経っても最大の難点です。
水流
どの生体を飼育する上でも、水流の強い、弱いはあまり関係ないと思います。大切なのは、水槽のサイズにあったパワーヘッドを選定、設置し、生体に直接パワーヘッドの水流が当たらないよう、ゆったりと流れる適度な水流を作る事が大切です。私の知り合いのベテランマリンアクアリストの中には、水流なんて不要っという事でパワーヘッドを設置しない方も中にはいますが、パワーヘッドは設置した方がよいかと思います。特に私の場合は、水槽がベアタンクなので、水槽底面の汚れを除去したいこともありパワーヘッドを必ず設置するようにしています。
照明
シライトイソギンチャクは、自然界で太陽光を浴びながら生活しています。実際にダイビングでシライトイソギンチャクが生息している付近のスペクトルを計測すると、海水の中であっても太陽光がシッカリと届いている波長がでます。蛍光灯やLEDでもシライトイソギンチャクは飼育する事は可能です。ただし状態よく長期飼育するのであれば、メタハラを設置した方がおすすめです。
活着
シライトイソギンチャクは他のイソギンチャクと比較すると、活着するまでの時間が長いようにも感じます。通販などでシライトイソギンチャクを購入し、水槽へ入れる際の注意点として、パワーヘッドは停止させた方がよいです。パワーヘッドが動作している環境下でシライトイソギンチャクを水槽に入れたら、活着し辛いシライトイソギンチャクが、パワーヘッドに巻き込まれてしまった。っという事になりかねません。
ライブロック
ライブロックは枝状でもブロック状でもどちらでもよいと思いますが、シライトイソギンチャクが落ち着いて活着できるくぼみがあるのがおすすめです。ハタゴイソギンチャクの長期飼育について記載しているページにも写真を掲載しているのですが、選定するライブロックは、底が平らなブロック状が活着しやすくおすすめです。

シライトイソギンチャク飼育に適したライブロック
移動
シライトイソギンチャクは、ハタゴイソギンチャクと同様に一度定着すると、ほとんどその場所を移動しません。ハタゴイソギンチャクよりも移動しないんじゃないか?っと感じるほど私はシライトイソギンチャクは移動しないイソギンチャクの印象が強いです。
温度
温度は25℃前後をキープする必要があります。夏場は水槽用クーラー、冬場はヒーターの設置が必須です。
大きさ
水槽内にシライトイソギンチャクをメインとして配置する場合は、大き目の個体を選定しても得に問題ありませんが、サンゴ水槽の場合、シライトイソギンチャクの触手がサンゴに触れてしまうと、サンゴが調子を崩す場合があります。サンゴ水槽で飼育する場合は、10cm~15cmぐらいのシライトイソギンチャクを選定するのがおすすめかと思います。
触手
シライトイソギンチャクは、触手が短いタイプと長いタイプがいます。短い触手のシライトイソギンチャクの方が多く流通しています。触手が長いタイプのシライトイソギンチャクは、あまり流通していません。
水質
海水魚、珊瑚、イソギンチャクどの生体であっても水質の急激な悪化や、飼育水が汚れているのにも関わらず硝酸塩、亜硝酸塩が蓄積した水槽環境下での飼育は、あまり適さないです。特にイソギンチャクは口から排泄物を出す事がありますので、プロテインスキマーの設置、浄水器でppm値を抑えた(正確には硝酸塩や亜硝酸塩など含まない純水)飼育水を生成した方が、状態よくシライトイソギンチャクを長期飼育する事ができます。
水あわせ
シライトイソギンチャクであっても、私は水槽投入時は必ず以下の水合わせキットを利用して、ゆっくりと時間をかけて水合わせを行うようにしています。
砂
シライトイソギンチャクはライブロックに活着させる事もできますが、水槽底面にも活着します。水槽内にサンゴ砂やライブサンドを敷く場合は、水槽サイズにあった分量を購入する必要があります。水槽用ライブサンド、サンゴ砂の特徴、選定についてページでは、水槽サイズ別に、どれぐらいのサンゴ砂やライブサンドを購入した方がよいのか?について記載しています。
水槽
イソギンチャクは水質を汚しやすので、水量が確保できるオーバーフロー水槽がおすすめです。ただし、外部濾過槽や、外掛け濾過であってもシライトイソギンチャクの飼育は可能です。ただし、水質が悪化しないよう、気を付ける必要があります。
小さく縮んだ個体
シライトイソギンチャクは調子を崩すと活着力が無くなり、小さく縮んでしまいます。一度弱ってしまい小さく縮んだ個体を復活させるのはなかなか難しいです。ただし排泄物をする際なども小さく縮むことがあります。この際は、調子を崩して縮んでいるのではありません。
口
どの種類のイソギンチャクにも口(口盤)が付いています。イソギンチャクが水槽内で調子を崩し放置しておくと、口から悪臭を放つ溶けた内臓が水槽内に充満してしまいますので、シライトイソギンチャク含め、イソギンチャクが水槽内で口を開いて力ない状態が2日続くようであれば、早めに水槽内かた取り出した方が安全です。
飼育環境
水換え頻度
飼育する水槽環境によって、水換えを行う頻度が異なってきます。水換え頻度については、以下のページでまとめています。
水換え頻度について
ライブロック
ライブロックは、水槽内での生物濾過を実現したり、イソギンチャクのレイアウトとして便利なため、水槽内にあった方がおすすめです。
ライブロックの特徴、選定
ライブサンド
ライブサンドは、水槽内での生物濾過を実現し、生体が水槽内で過ごし易い環境を作り上げることができます。ライブサンドの特徴や、水槽サイズ別に必要となるライブサンドの量について、以下のページでまとめています。
ライブロックの特徴、選定
プロテインスキマーの設置
プロテインスキマーは、ライブロック、ライブサンドで実現する生物濾過とは異なり、水槽内に溜まった目に見えるぐらいの汚れを物理的に除去するといった役割を持つため、設置した方が状態よく飼育することができます。
プロテインスキマーの特徴、選定
浄水器の設置
より海に近い環境で長期飼育を目指す場合には、水道水の不純物を取り除ける浄水器を設置するのがおすすめです。浄水器の特徴や選定については、以下のページでまとめています。
浄水器の特徴、選定
オーバーフロー水槽での飼育
水槽の水量が多いほど、急激な水槽内の環境変化から生体をまもり、状態よく飼育することができます。生体の長期飼育を目指すなら、オーバーフロー水槽での飼育がおすすめです。
オーバーフロー水槽の特徴、選定
シライトイソギンチャクを飼育する上で必要な飼育環境については、以下のページにまとめています。
実際の飼育環境
本ページで記載している記事は、以下の水槽スペックで実際に飼育した経験を元に記載しています。飼育環境を選定する際の参考情報としてください。
餌
液状フードなどを与えている人もいるようですが、私はどのイソギンチャクであっても餌を与えた事がありません。餌を与えるよりも照明や水質を整えてあげる方が大切だと思います。
アサリについて
アサリも与えた事がありません。餌としての有効性は不明です。シマヤッコの餌付けなどの話にもよくアサリが登場してきますが、自然界においてシライトイソギンチャクがアサリを食べるという事自体が想像できないので、与えないようにしています。
クリルについて
クリルもよく餌として与える方が多いようですが、クリルは消化不良を起こす可能性があるので絶対にどの生体であっても与えないようにしています。大型の海水魚であれば、与えても問題無いとは思いますが、水槽で飼育するサイズのイソギンチャクや海水魚に、クリルを与えるのは、私は控えるようにしています。
カクレクマノミとの共生
自然採取されたワイルド個体のカクレクマノミだとシライトイソギンチャクに共生しない事が多かったです。シライトイソギンチャクとの共生を行いたい場合は、ブリード個体(養殖個体)の方がおすすめだと思います。たまになんでブリード個体なのか?と質問される方がいるのですが、カクレクマノミのブリード個体は、自然界のイソギンチャクを知らないせいか?どのイソギンチャクであっても共生する種類が多いです。
ペルクラとの共生
ペルクラもブリード個体であれば、シライトイソギンチャクに共生する可能性は高いと思います。ただし個体差あるので、実際に水槽へ入れてみないと、分からないのが正直な答えです。
ハマクマノミとの共生
ハマクマノミはシライトイソギンチャクと過去一度だけ共生させた事があります。ただし、必ず共生するかは未知数なので、ハマクマノミとイソギンチャクの共生を行うのであれば、タマイタダキイソギンチャクを選定する必要があると思います。
相性
ハタタテハゼ
シライトイソギンチャクとハタタテハゼの相性は特に問題ありません。ただし、シライトイソギンチャクのサイズが大きいとハタタテハゼが食べられてしまう可能性があるため、ハタタテハゼを飼育する水槽でシライトイソギンチャクを飼育するのであれば、なるべく小さい個体を選んだ方がよいと思います。
キャメルシュリンプ
シライトイソギンチャクとキャメルシュリンプの相性は悪くありませんが、キャメルシュリンプはLPSなどをハサミでむしりとってしまう修正があります。タマイタダキイソギンチャクの飼育というよりは、サンゴ水槽においてキャメルシュリンプを飼育するのは避けた方がよいです。
サンゴ

サンゴ水槽で飼育中のシライトイソギンチャクと共生するカクレクマノミ
シライトイソギンチャクの毒性はそれほど強くないのでサンゴ水槽でも飼育は可能です。ただしシライトイソギンチャクの触手がサンゴに触れてしまうと、サンゴが調子を崩して溶けてしまう場合がありますので、触れ合わないようにレイアウトしてあげる必要があります。
飼育難易度
サンゴイソギンチャクや、タマイタダキイソギンチャクと比較するとシライトイソギンチャクの飼育は難しいです。っというより、ちゃんと飼育環境を整えてあげる必要があります。
難易度
難しい:
カクレクマノミとの共生
普通:
珊瑚との相性
危険:
長期飼育を目指すのであれば、メタハラ、浄水器、プロテインスキマーの利用がおすすめです。私も初心者の頃は、高額機材の設置にはかなり躊躇しましたが、設置した後の生体の状態は明らかに優れていることが確認できるようになると思います。
初心者の方がイソギンチャクを飼育する際に気をつけたいポイントについては、以下のページで、イソギンチャクの種類別にまとめています。
種類

飼育3年目の褐虫藻で変色した状態が良いシライトイソギンチャク
シライトイソギンチャクは大きく分けて、触手が短いタイプと、長いタイプに分かれます。よく流通しているのは短いタイプですが、長い触手の方がシライトイソギンチャクっぽく私は好きな個体です。ただし流通はあまりしません。私は沖縄の知り合いの漁師さんにお願いして、触手が長いタイプのシライトイソギンチャクを直接購入しています。
色
イエロー
シライトイソギンチャクのイエロータイプは稀に見かけます。私の感覚では、ショップで見かけるよりもヤフオクでみかけた機会の方が多い気がします。
パープル
パープル個体はコーラルラボによく入荷しています。触手は短いタイプがほとんどです。
ピンク
ピンクの個体も稀に流通しますが、数は多くありません。
グリーン

ライブロックに活着したシライトイソギンチャクグリーン個体
グリーンはほとんど流通しません。私は過去一度だけ飼育しましたが、長期維持は難しかったです。
価格相場
- ノーマル:約3,000円
- パープル:約10,000円
- イエロー:約10,000円
価格は、3,000円以内。パープル、イエロー個体であれば1万円前後です。
通販
通販サイトで購入ができる価格が安いシライトイソギンチャクを以下のページからご確認いただけます。該当の商品が存在しない場合は、商品が何も表示されない場合や、他の商品が表示される場合があります。詳しくは以下の通販サイトより、最新の価格をご確認ください。
シライトイソギンチャクに関する飼育方法のご紹介は以上となります。次にイボハタゴイソギンチャクの飼育方法をご紹介いたします。 関連記事:イボハタゴイソギンチャクの飼育について
人気のショップ
イソギンチャクの飼育
イソギンチャクといえば、誰もがあこがれる飼育環境下で行うカクレクマノミとの共生です。以下でご紹介するイソギンチャクは、全て我が家の自宅で飼育してきたイソギンチャクになります。イソギンチャクは、海水魚や珊瑚、マリンプランツ(海藻、海草)と比較しても独特の生き物で、実際に飼育経験を積んでいかないと、生体の見極めや、長期飼育が難しい生き物です。ただし、飼育環境さえ整えてしまえば、飼育が難しいとされるハタゴイソギンチャクでも、10年以上飼育する事も可能です。実際に私の周りには10年以上、ハタゴイソギンチャクを飼育しているベテランのアクアリストが今なお飼育を継続して存在します。イソギンチャクと並んで人気のカクレクマノミの飼育については、以下のページでまとめています。カクレクマノミも、もう10年ぐらい今もなお継続して、長期飼育しています。
イソギンチャクの飼育機材、用品
イソギンチャク飼育は、海水魚飼育に必要な機材、用品に追加して、カルシウムリアクター、添加剤、イソギンチャク飼育に適した照明が必要となってきます。カルシウムリアクターと添加剤は無くてもイソギンチャクの飼育は可能です。ここに、オーバーフロー水槽、浄水器、クーラー、プロテインスキマー、ライブロック、ライブサンド、ヒーター、水中ポンプ、塩分濃度計、バケツ、ウールマット、人工海水など海水魚飼育にも必要な機材や用品が加わってきます。より自動化させた水槽環境を実現する際には、自動給水器、電磁弁が必要です。オーバーフロー水槽を自作する際には、水槽用の配管パーツが必要となってきます。
イソギンチャク飼育におすすめのオーバーフロー水槽
イソギンチャク飼育におすすめなオーバーフロー水槽を30センチ、45センチ、60センチ、90センチ、120センチサイズ別に比較することができます。オーバーフロー水槽は、サイズが大きくなるにつれて、とても高額になってきます。オーバーフロー水槽が崩壊したり、水槽に付属する機材が故障すると、飼育している海水魚、珊瑚、イソギンチャク、マリンプランツが死んでしまう可能性があるので、万が一何かトラブルが発生した際にも、サポート体制がシッカリとしている店舗で購入するのがおすすめです。インターネット通販で販売されているオーバーフロー水槽は、組み立てが簡単なので、届いたその日に水槽のセッティングを開始することができます。詳細は、以下のページでまとめています。
マリンアクアリウム飼育方法
海水魚、珊瑚(ソフトコーラル、ハードコーラル)、イソギンチャク、マリンプランツ(海藻、海草)の飼育方法について、以下のページでそれぞれまとめています。
マリンアクアリウム飼育機材
海水魚、珊瑚(ソフトコーラル、ハードコーラル)、イソギンチャク、マリンプランツ(海藻、海草)の飼育に必要な機材や用品などについて、以下のページでそれぞれまとめています。