ハタゴイソギンチャクが飼育できない!過去の飼育経験から感じること
ハタゴイソギンチャクの飼育は、2週間の壁などと言われるようなこともありますが、なかなか長期飼育に至らない経験をされている方が多いのではないかと思います。わたしがマリンアクアリウムを始めた2000年の頃は、入荷するハタゴイソギンチャクの状態もよく無く、飼育環境も整っていなかったため、購入したハタゴイソギンチャクを水槽に入れても、直ぐに死んでしまうという事が何度もありました。今までハタゴイソギンチャクを飼育してきて、「ハタゴイソギンチャクを長期飼育するポイントはここにある。」という点について飼育経験をもとに記載してみたいと思います。
目次
ハタゴイソギンチャクを上手に飼育するポイント
ハタゴイソギンチャクを状態よく長期飼育するポイントは、大きく分けて「飼育環境を整える」、「状態の良いハタゴイソギンチャクを入手する」、「飼育環境に変化を与えない」の3つだと感じています。それぞれ何に気をつけるのかについて、まとめてみたいと思います。
飼育環境を整える
ハタゴイソギンチャクに限らず、海水魚の飼育、珊瑚の飼育、イソギンチャクの飼育でとても大切になってくるのが、飼育環境を作るところから始まります。よく「初心者向けの飼育環境」という言葉を目にすることがあるのですが、正確には「安い飼育環境」という表現の方が正しいような気がします。マリンアクアリウムは、とても高額な趣味の世界です。特に初心者の頃は、少しでも安い環境で済ませたいと誰もが思うと思います。「私も安くてよいもの」を購入したいと思う気持ちは同じです。ただし、ハタゴイソギンチャクを安定した環境で長期飼育したいのであれば、それなりの安定した飼育環境を整えてあげる必要があります。ハタゴイソギンチャクを購入しては、死なせてしまうという状況を何度も繰り返してしまうようであれば、生体を購入する気持ちを抑え、ハタゴイソギンチャクによりよい環境を作り上げてあげてから、ハタゴイソギンチャクを水槽に迎え入れるのが正解のような気がします。ハタゴイソギンチャクの飼育に適した環境は、以下のページでまとめています。
状態の良いハタゴイソギンチャクを入手する
ハタゴイソギンチャクは、輸送にとても弱いイソギンチャクです。ノーマル固体よりも、ブルーやグリーンといったカラー固体は特に弱く、フィリピンやインドネシアなど、カラーのハタゴイソギンチャクが生息する産地で採取されたハタゴイソギンチャクは、海から陸への輸送の途中で命を落としてしまう固体も数多くいるそうです。なので、優れたハタゴイソギンチャクが入手できるショップは、直輸入で現地からの最短ルートを確立できているコーラルラボや、海外でトリートメントして、状態が安定した個体のみを輸入するアクアギフトのハタゴイソギンチャクがおすすめです。実際、今まで飼育してきた海外産のハタゴイソギンチャクで、年単位の長期飼育ができているのは、この2つのショップで購入したハタゴイソギンチャクのみです。
素手では極力触れない
状態が優れたハタゴイソギンチャクに素手で触れると、触手が剥がれ指にべっとりと付いてしまい、指や腕がかぶれてしまう事があります。人の体温は、水温25℃よりも当然高いので、長時間生体に素手で触れるのはあまり好ましくありません。できればゴム手袋などを利用して、メンテナンスしてあげた方が生体には優しいと思います。
水中ポンプの巻き込みには十分注意する
ハタゴイソギンチャクの人為的な事故として多いのが、水中ポンプへの巻き込みです。特に購入したハタゴイソギンチャクを水槽に入れたばかりのタイミングは、ハタゴイソギンチャクが定着していないため、水槽から少し離れただけなのにハタゴイソギンチャクが水中ポンプに巻き込まれてしまったり、水槽投入から一晩明けて朝水槽を確認したら水中ポンプにハタゴイソギンチャクが巻き込まれていたといった事故が起こりやすいです。ハタゴイソギンチャクが水槽内で完全に活着するまでは、水中ポンプは停止させておいた方が無難です。
飼育環境に変化を与えない
海水魚の飼育、珊瑚の飼育、イソギンチャクの飼育でとても気をつけたいのが、飼育環境の変化です。特にハタゴイソギンチャクが調子を崩し易い季節は、外気が乾燥し始める秋から冬にかけてです。秋まで状態よく飼育できていたのに、冬になったら水槽内の水が蒸発し、塩分濃度が急激に上昇したことによって、ハタゴイソギンチャクが死んでしまうということがあります。このような場合、ハタゴイソギンチャクは、口が開いて溶けて亡くなるのでは無く、どんどん小さく縮まり、やがてバブルディスクぐらいのサイズになって、最後消滅してしまうというような死に方をしてしまいます。ハタゴイソギンチャクが調子を崩すとどのような状況になるかについては、以下のページでご紹介いたします。
ハタゴイソギンチャクは、水の中で活きる生き物なので、特に水質の変化に敏感です。理想は、トリトンシステムを採用した環境に、自動給水システムで水槽内の水が蒸発したら自動給水される仕組みがあると最適なのですが、なかなかそこまで飼育環境を整えることができない場合は、海水魚、珊瑚、イソギンチャク飼育の水作りと水合わせ、温度合わせ手順ページで紹介しているような水合わせキットを利用して蒸発した分の水を足して、水槽内に急激な水質の変化を発生させないようにしてあげることが、長期飼育の秘訣です。ハタゴイソギンチャクを状態よく長期飼育する際に必要な理想の水槽環境について、以下のページでご紹介いたします。
「ハタゴイソギンチャクが飼育できない!過去の飼育経験から感じること」のご紹介は以上です。更にハタゴイソギンチャクを長期飼育してきた経験をもとにまとめたハタゴイソギンチャクの長期飼育についてのノウハウなどは、以下のページでまとめています。
ハタゴイソギンチャクの長期飼育に関して
カクレクマノミがもっとも共生する相性がよいイソギンチャクといえば、ハタゴイソギンチャクです。ハタゴイソギンチャクを長年飼育する愛好家として、今までの飼育を通じて感じた事や実体験を本ページでは記載しております。他に飼育されている方はまた違った意見等があるかもしれません。ショップやメーカーさんであれば、もっとよいアドバイスをしてくれるかもしれません。遠く離れた海の中からやってくるハタゴイソギンチャクを少しでも大切に長く飼育できるよう、初めてハタゴイソギンチャクを飼育される方や、なかなかハタゴイソギンチャクが上手く飼育できない方向けに、お役に立てればと思いまとめています。
関連記事:ハタゴイソギンチャクの長期飼育に関してイソギンチャクの飼育
イソギンチャクといえば、誰もがあこがれる飼育環境下で行うカクレクマノミとの共生です。以下でご紹介するイソギンチャクは、全て我が家の自宅で飼育してきたイソギンチャクになります。イソギンチャクは、海水魚や珊瑚、マリンプランツ(海藻、海草)と比較しても独特の生き物で、実際に飼育経験を積んでいかないと、生体の見極めや、長期飼育が難しい生き物です。ただし、飼育環境さえ整えてしまえば、飼育が難しいとされるハタゴイソギンチャクでも、10年以上飼育する事も可能です。実際に私の周りには10年以上、ハタゴイソギンチャクを飼育しているベテランのアクアリストが今なお飼育を継続して存在します。イソギンチャクと並んで人気のカクレクマノミの飼育については、以下のページでまとめています。カクレクマノミも、もう10年ぐらい今もなお継続して、長期飼育しています。
イソギンチャクの飼育機材、用品
イソギンチャク飼育は、海水魚飼育に必要な機材、用品に追加して、カルシウムリアクター、添加剤、イソギンチャク飼育に適した照明が必要となってきます。カルシウムリアクターと添加剤は無くてもイソギンチャクの飼育は可能です。ここに、オーバーフロー水槽、浄水器、クーラー、プロテインスキマー、ライブロック、ライブサンド、ヒーター、水中ポンプ、塩分濃度計、バケツ、ウールマット、人工海水など海水魚飼育にも必要な機材や用品が加わってきます。より自動化させた水槽環境を実現する際には、自動給水器、電磁弁が必要です。オーバーフロー水槽を自作する際には、水槽用の配管パーツが必要となってきます。
イソギンチャク飼育におすすめのオーバーフロー水槽
イソギンチャク飼育におすすめなオーバーフロー水槽を30センチ、45センチ、60センチ、90センチ、120センチサイズ別に比較することができます。オーバーフロー水槽は、サイズが大きくなるにつれて、とても高額になってきます。オーバーフロー水槽が崩壊したり、水槽に付属する機材が故障すると、飼育している海水魚、珊瑚、イソギンチャク、マリンプランツが死んでしまう可能性があるので、万が一何かトラブルが発生した際にも、サポート体制がシッカリとしている店舗で購入するのがおすすめです。インターネット通販で販売されているオーバーフロー水槽は、組み立てが簡単なので、届いたその日に水槽のセッティングを開始することができます。詳細は、以下のページでまとめています。
マリンアクアリウム飼育方法
海水魚、珊瑚(ソフトコーラル、ハードコーラル)、イソギンチャク、マリンプランツ(海藻、海草)の飼育方法について、以下のページでそれぞれまとめています。
マリンアクアリウム飼育機材
海水魚、珊瑚(ソフトコーラル、ハードコーラル)、イソギンチャク、マリンプランツ(海藻、海草)の飼育に必要な機材や用品などについて、以下のページでそれぞれまとめています。