ブラックバンドエンゼルフィッシュの飼育について
日本のアクアリウム業界では、ブラックバンドの愛称で人気の高いハワイを代表するキンチャクダイの仲間です。ハワイ以外の海域では、ミッドウェイ環礁、ジョンストン島に生息しています。自然界では雑食性であり、カイメン、無脊椎動物、藻類を主食としています。ベースの真珠のような白い体色に黒いバンドが入る神秘的で非常に美しい海水魚です。幼魚の頃からこの体色は大きくは変化しません。水深20mから180mとやや深い場所に生息しており、個体数の減少が懸念されている海水魚です。そのため現地では乱獲防止に力も入れられています。本種は深い岩礁域に生息しており、神経質で岩場からほとんど姿を見せないことから採取に手間のかかる海水魚でもあります。これらの理由から販売価格も高価です。以前はコンスタントな入荷がありましたが、近年は10cmぐらいの固体や、幼魚サイズのものも稀に入荷し、ショップの店頭に並ぶことがあるが非常に高額です。高額ではありますが人気が高い種であるため、10cmほどのベストサイズや稀な幼魚はあっという間に完売となってしまいます。
ヤッコの仲間は性格がキツイ種類が多いため、混泳を実現したい場合は、大きなサイズの水槽を用意し、小型ヤッコであればライブロックで複雑な形状を組み上げて隠れ家を作り、水槽にはあまり多くの海水魚を入れないのが理想です。大型ヤッコの場合は、大型のオーバーフロー水槽でベアタンクを作り、水槽内で縄張り争いが発生しないように、ライブロックの数を減らして飼育するという手段もあります。ヤッコの飼育におすすめなオーバーフロー水槽、ライブロック、ヤッコの混泳については、以下のページでまとめています。
目次
ブラックバンドエンゼルフィッシュについて
学名
Apolemichthys arcuatus
全長(最大)
20cm
生息分布
ハワイ諸島、ジョンストン、ミッドウェイ環礁
飼育難易度
高額な海水魚でもあり、性格も大人しいことからブラックバンドを飼育する際には単独もしくはペアで飼育を行いたいです。性格が大人しいことから他種との組み合わせは行いやすいが、混泳を行うのであれば十分に日々観察していきたいです。落ち着いた環境下であれば人工餌にも餌付けることが可能です。入荷時の状況によって痩せ易い固体もいることから購入の際には状態を十分見極めていきたいです。自然界での生息場所を意識し、水温は通常よりも低めの23度が理想的です。ベテランアクアリストが入手するべき海水魚です。
ブラックバンドエンゼルを実際に飼育してみて感じた事
一言でいうと、とてもデリケートな海水魚です。他の生体を扱うのと同じような感覚で扱うとすぐに体調を崩してしまいます。もともとハワイの水深の深い温度が低いところに生息しているためか、急激な温度の変化に対する耐久力が他のヤッコと比較してとっても弱いです。なので、大量に水槽の水交換を実施される際などには、冬場や夏場は特に注意が必要です。
もし安全にブラックバンドにストレスを与えることなく大量に水槽の水を交換する際には、水槽の中と外気が同じぐらいの温度になる春先や秋口などがよい気がします。もともと飼育していたブラックバンドは、大量換水時に一時体調を崩したものの、なんとかもちこたえてくれました。
しかし、水槽内の赤ゴケを除去する製品を利用した途端、一気に体調を崩して死んでしまいました。その後私は、水槽内に添加剤等については、水槽に入れなくなってしまいました。ブラックバンドを飼育する際には、急激な水質や温度の変化を極力無くしてあげることが長期飼育のコツだと思います。餌付けは難しくはありませんでした。
コンスピもブラックバンドと同じく、とってもデリケートなヤッコのため、フレームエンゼルやレモンピールなどのヤッコを扱うのと同じような感覚で扱ってしまうと、急激に体調を崩してしまう事があります。
性格
普通:
混泳
難しい:
餌付け
普通:
珊瑚との相性
危険:
映像
実際に私の自宅で飼育しているブラックバンド2匹の混泳と、バヌアツ産シマヤッコの混泳映像になります。
混泳
ブラックバンドエンゼルは、個体差にもよると思いますが、比較的性格が優しいヤッコの仲間のため、混泳も容易に行う事ができます。以下は我が家の水槽で混泳中のブラックバンドエンゼルになります。
追加で水槽に入れたブラックバンドエンゼルですが、水槽に入れて一週間が経過してようやく人工の粒餌に餌付きはじめました。もともと餌付いていなかったブラックバンドなので、お腹はかなりやせ細っています。餌付かない海水魚を目の前にすると、とにかく餌付きが良さそうな餌をいろいろと与えてしまいがちですが、やせ細ったヤッコは、内臓も弱っている気がするので、ジックリ時間をかけて、餌付かせてあげる方がよいのではないかと思っています。特に乾燥クリルなどは餌付き易かったりしますが、与え過ぎてしまうと消化不良で命を落としてしまうこともあるようです。海水魚が餌をねだるからといって、餌を与え過ぎるのもよく無いようです。食の細い魚は、大きな粒の餌ではなく、小さい粒の餌から餌付かせていっています。
飼育環境
水換え頻度
飼育する水槽環境によって、水換えを行う頻度が異なってきます。水換え頻度については、以下のページでまとめています。
水換え頻度について
ライブロック
ライブロックは、水槽内での生物濾過を実現したり、隠れ家としても機能を果たすので、水槽内にあった方がおすすめです。
ライブロックの特徴、選定
ライブサンド
ライブサンドは、水槽内での生物濾過を実現し、生体が水槽内で過ごし易い環境を作り上げることができます。ライブサンドの特徴や、水槽サイズ別に必要となるライブサンドの量について、以下のページでまとめています。
ライブロックの特徴、選定
プロテインスキマーの設置
プロテインスキマーは、ライブロック、ライブサンドで実現する生物濾過とは異なり、水槽内に溜まった目に見えるぐらいの汚れを物理的に除去するといった役割を持つため、設置した方が状態よく飼育することができます。
プロテインスキマーの特徴、選定
殺菌灯の設置
殺菌灯は水槽内の病原菌を紫外線の力で除去できる機材です。白点病を防ぐためにも殺菌灯の設置がおすすめです。殺菌灯の特徴や選定については、以下のページでまとめています。
殺菌灯の特徴、選定
白点病治療
海水魚の飼育で一番多い病気が、白点病です。万が一、白点病になってしまった場合の治療方法について、以下のページでまとめています。
海水魚の白点病治療
浄水器の設置
より海に近い環境で長期飼育を目指す場合には、水道水の不純物を取り除ける浄水器を設置するのがおすすめです。浄水器の特徴や選定については、以下のページでまとめています。
浄水器の特徴、選定
オーバーフロー水槽での飼育
水槽の水量が多いほど、急激な水槽内の環境変化から生体をまもり、状態よく飼育することができます。生体の長期飼育を目指すなら、オーバーフロー水槽での飼育がおすすめです。
オーバーフロー水槽の特徴、選定
ブラックバンドエンゼルを飼育する上で必要な飼育環境については、以下のページにまとめています。
餌
ブラックバンドにおすすめの人工餌は、メガバイトグリーンです。ヤッコは自然界において、藻類、海綿、ホヤ、底生無脊椎動物、小型の甲殻類等を捕食する雑食性の海水魚です。草食寄りの雑食成分が配合された人工餌として、メガバイトグリーンがもっともおすすめです。
メガバイトグリーン
メガバイト、ヤッコの餌付け方法、海水魚におすすめの餌については、それぞれ以下のページでまとめています。
価格相場
約150,000円
価格相場はあくまで目安です。生体の入荷状況や販売店舗などによって異なります。詳しくは以下の通販サイトより、最新の価格をご確認ください。
ブラックバンドエンゼルが安く入手できるショップ
ブラックバンドが安く入手できるのは、チャーム、ペットバルーン、アクアギフトです。20万円近い価格で販売されている場所もありますが、チャームとアクアギフトであれば、10万円以下、アクアギフトは5万円台で販売されている個体もありました。
通販
通販サイトで購入ができる価格が安いブラックバンドエンゼルを以下のページからご確認いただけます。該当の商品が存在しない場合は、商品が何も表示されない場合や、他の商品が表示される場合があります。
ブラックバンドエンゼルフィッシュに関する飼育方法のご紹介は以上となります。次にブルーエンゼルフィッシュの飼育方法をご紹介いたします。 関連記事:ブルーエンゼルフィッシュの飼育について
おすすめの生体
人気のショップ
種類別ヤッコの飼育
ヤッコの魅力といえば、水槽内のレイアウトの隙間をスルスルとかいくぐりながら泳ぐ姿と、体の模様の美しさにあります。特に人気のヤッコは、シマヤッコ、ニシキヤッコ、スミレヤッコです。以前は、なかなか餌付き辛い種類もいましたが、無理な混泳をさせずに、落ち着いた水槽環境を準備してあげれば、昔ほど餌付けが難しいと感じるヤッコが少なくなった気がいたします。よくフレームエンゼル、レモンピールエンゼルなどが飼育がし易い初心者ヤッコとして紹介される事が多いですが、ヤッコの飼育難易度は、よっぽど水深深くから引き上げられ、輸送のストレスを受けている個体でなければ、それほど差は無いと感じます。自然界での食性を把握し、落ち着いた環境で時間をかけて飼育してあげる事が大切だと感じます。
海水魚の飼育
特に人気が高い海水魚の飼育方法をご紹介しています。海水魚飼育を始められる方は、まずはカクレクマノミとイソギンチャクの共生から入り、マリンアクアリウムにハマると、ヤッコ飼育へと流れていく方が多くいます。チョウチョウウオは人工餌に餌付き辛い種類が多く、初心者の方にはおすすめしません。ハナゴイ、ハナダイの仲間は、性格がおとなしく、群れで水槽内を泳ぐのと、丈夫な種類が多いのと、珊瑚との相性も良く色合いも綺麗なことから、初心者の方にもおすすめの海水魚になります。海水魚の種類別飼育方法については、以下のページでご紹介しています。
海水魚の餌
マリンアクアリウムを行う上で、生体別に適したおすすめな餌の区分について整理していきたいと思います。なお以下の整理内容は、私自身の過去のマリンアクアリウム経験をもとにまとめているため、他の方がまとめたらまた別の視点になるかもしれません。海水魚の餌選定において、一番重要となってくるのは、自然界において生体が何を捕食していて、雑食性なのか?草食性なのか?ポリプ食?プランクトン食?なのかをシッカリと理解することです。自然界における生体の捕食性を理解した上で、餌を選定していきたいと思います。また、厳密には乾燥餌、冷凍餌については、加工のタイミングで人の手が入っているので、広域では人工餌に分類されると思うのですが、分かりやすい分類という観点で、それぞれ分けて整理していきたいと思います。海水魚の餌については、以下のページでご紹介しています。
海水魚の白点病
海水魚の白点病治療は、オキシドール、ニチドウグリーンFゴールド、淡水浴、水換え、放置、自然治癒など様々試みている人がいますが、過去に私自身が行ってきた治療方法を交えながら、白点病の原因と対策についてご紹介いたします。写真は、我が家の水槽で、白点病になってしまったゴールデンバタフライの写真です。チョウチョウウオの飼育は、特に白点病になりやすいので、注意が必要です。写真のゴールデンバタフライの体表に白い点々が付いているのが分かるかと思います。白点病とは、魚を飼育する人であれば、誰でも経験する魚の病気です。初心者の方であっても、ベテランの方であっても、海水魚を販売するショップでさえも白点病に悩まされています。過去行ってきた白点病の治療方法について以下のページでご紹介いたします。
海水魚の飼育機材、用品
海水魚飼育に必要な機材と用品についてまとめています。海水魚を状態よく長期飼育したい場合は、オーバーフロー水槽、浄水器、クーラー、プロテインスキマー、ライブロック、ライブサンド、ヒーター、水中ポンプ、塩分濃度計、バケツ、ウールマット、人工海水などが必要となってきます。また、より自動化させた水槽環境を実現する際には、自動給水器、電磁弁が必要です。オーバーフロー水槽を自作する際には、水槽用の配管パーツが必要となってきます。海水魚を飼育する上で必要な飼育機材や用品については、以下のページでご紹介いたします。
海水魚飼育におすすめのオーバーフロー水槽
海水魚飼育におすすめなオーバーフロー水槽を30センチ、45センチ、60センチ、90センチ、120センチサイズ別に比較することができます。オーバーフロー水槽は、サイズが大きくなるにつれて、とても高額になってきます。オーバーフロー水槽が崩壊したり、水槽に付属する機材が故障すると、飼育している海水魚、珊瑚、イソギンチャク、マリンプランツが死んでしまう可能性があるので、万が一何かトラブルが発生した際にも、サポート体制がシッカリとしている店舗で購入するのがおすすめです。インターネット通販で販売されているオーバーフロー水槽は、組み立てが簡単なので、届いたその日に水槽のセッティングを開始することができます。詳細は、以下のページでまとめています。
マリンアクアリウム飼育方法
海水魚、珊瑚(ソフトコーラル、ハードコーラル)、イソギンチャク、マリンプランツ(海藻、海草)の飼育方法について、以下のページでそれぞれまとめています。
マリンアクアリウム飼育機材
海水魚、珊瑚(ソフトコーラル、ハードコーラル)、イソギンチャク、マリンプランツ(海藻、海草)の飼育に必要な機材や用品などについて、以下のページでそれぞれまとめています。